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磁器とボーンチャイナの違い──ポーセリンアート講師として知っておきたい正しい知識

ポーセリンアートを指導していて、多くの方が混同されているのが、「磁器」と「ボーンチャイナ」の違いです。

そもそも“磁器”といっても種類はさまざま。セラミック・ポーセリン・ニューボーン・ストーンウェアなど、原料や製法によって分類されています。

一般的にはすべてを「磁器」と呼びますが、その中でも特に注意が必要なのが「ボーンチャイナ」です。

ボーンチャイナとは?

ボーンチャイナは、もともとイギリスで誕生した高級磁器。牛の骨灰(ボーンアッシュ)を混ぜて焼き上げることで、透けるような白さと柔らかい質感が生まれます。

その上品な美しさから、ウェッジウッドなどのブランド食器にも使われており、長年「高級磁器」として親しまれてきました。

項目

磁器(Porcelain)

ボーンチャイナ(Bone China)

主成分

カオリン(陶石)

カオリン+骨灰(ボーンアッシュ)

特徴

硬く丈夫で白く、やや無機質

薄く軽く、やわらかな白さと透光性

焼成温度

約1250〜1350℃

約1200℃前後

手触り

マットでしっかりした質感

なめらかでクリーミーな質感

発色

シャープで鮮やか

柔らかくとけこむような発色

最近の“ボーンチャイナ”に注意

近年では、ニトリや100円ショップでも「ボーンチャイナ」と表記された食器を見かけるようになりました。製法上は確かにボーンチャイナですが、かつての高級ブランドのものとは原料や焼成工程が異なる場合も多くあります。

しかし、ポーセリンアートの観点では、価格に関わらず扱い方の注意点は同じです。ここを知らずに制作すると、「あれ?いつもと違う…」という仕上がりになることもあります。


ポーセリンアート制作での注意点

ボーンチャイナは釉薬(ゆうやく)が柔らかいのが最大の特徴。そのため、絵の具や転写紙の発色はとても美しく、まるで磁器に溶け込むようなやわらかな仕上がりになります。

ただし、美しい分だけ繊細です。特に注意したいのが以下の2点です。


🔸1. 金彩(ドレ)焼成温度の注意

金は表面に「膜」をつくる性質があります。磁器と同じく800℃で焼成すると、ボーンチャイナでは金が変色・剥離することがあります。

👉 推奨温度:750℃前後(絵の具や転写紙の上の金は700℃が目安)


🔸2. 盛り(クシェ)焼成時の注意

ボーンチャイナは釉薬が柔らかいため、盛りが沈みやすく、平らに見えてしまうことがあります。立体感を残すためには、通常より低温で焼成することが大切です。

👉 推奨温度:750℃前後


まとめ:素材の違いを知ることが作品力を高める

磁器(ポーセリン)もボーンチャイナも、それぞれに魅力があります。大切なのは、素材の特性を理解し、正しい温度・技法で扱うこと

それだけで、作品の完成度も発色も見違えるほど変わります。そして、生徒さんに指導する際も、この違いを伝えられる講師こそが信頼される講師です。



💬IMD代表東城真利子より

ボーンチャイナは“上質な磁器”の象徴であり、その美しさはまさに「お気に入りを形にする」世界にふさわしい素材です。

アールポーセ®では、素材の特性を理解しながら、誰でも美しく仕上げられる技法と指導法を体系化しています。

🎓アールポーセベーシック通信講座でも学べます

この記事で紹介した内容は、アールポーセ®の基礎を体系的に学べる「アールポーセベーシック通信講座」の動画コンテンツにも含まれています。

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